絵画のための見晴らし小屋・荒神山

2006年417×157×202cm(窓2)

コンクリート基礎,木材, 塗料, ガルバリウム鋼板

2006年、天竜川上流、南アルプスと中央アルプスに挟まれる伊那谷最北部に位置する辰野でワークショッ
プが催された。それに際して小高い丘、荒神山の頂に建つ美術館の東側斜面に、正方形と横長の二つの窓
を設けた見晴らし小屋を設営した。

正方形の窓が、美術館東に植林されたもみじにむけて開かれ、南側には横長の窓が設けられている。その
横長のフォーマートは、天竜川の流れに導かれ低く保たれた地平線が左右からの山並に圧縮され、上方に
は空が拡がりを見せ、更にはるか上方に空を背景にアルプスの直線的な稜線が浮かび上がる姿を切り

取っている。

梯子の垂直移動によって達する視点場では、小さなのぞき穴の設けられた壁が、それぞれの窓と平行する
様に手前に設置され、のぞき穴越しに窓をながめる事で、視点−窓−景観・viewの三点を結び付ける二重
壁構造が試みられ、視点の固定の強度が確保された。

制作当初、山の下から吹き上げてくる風は想定されていなかったが、季節によってはかなりの強風も予測
される。 風対策として、土台脚部を板材で覆う第二期制作がすすめられることになる。 (母袋俊也)